柵をさくっと切ってお刺身食べる(。・_・。)

お刺身はどうすれば上手く切れる?技術の前に重要なこと

お刺身を上手く切る方法
包丁をまな板から落としてしまったら「危ないッ!」と吃驚しますよね。もし包丁が足に当たったりしたらと思うとぞっとしてしまいます。ですがこれ、お刺身を含めて物を切る全般において重要なことを示唆しています。つまり、
物を切る場合は刃物の重さを使う
ことが重要なのです。意外な気もしますが、物を切るのは実際には大変な作業です。比較的柔らかい薄紙でさえ、数枚重ねただけで簡単に引き千切ることは出来ません。これが例えハサミを使ったとしても、紙を束ねてお刺身の厚さ位にしたら結構厳しいものがあると思います。それくらいに物を切ると言うのは大変なのです。ですから、包丁で食材を上手に切るには、包丁を食材の上に持ってきて、重力に従って落ちていく方向に力を入れるのです。より具体的に言うと、包丁を最低限の力で支え、軽く落下させると包丁が物に当たって最初の切る方向が定まります。ですが眼に見えない重力を完全に把握して、その方向と完全に一致した所に力を入れるのは難しいのです。それなので何かしらのガイドが欲しくなります。ここで、ほんの少し引いたり押したりすると食材に小さな溝が出来ます。その溝が出来たら溝を頼りにして力を入れるのです。のこぎりで木材を切る時に、最初に細かい方の刃で溝をつけてから大きい刃の方で切っていくのと同じです。
この基本を踏まえた上で、お刺身のことを考えてみましょう。お刺身を切る時の特徴として「1回で切る」事があげられます。押しても引いても良いのですが、のこぎりで堅い材木を切る時のようにギコギコと押したり引いたりしないで1回で切るのです。これの理由なのですが、1回切った場所に対して同じように切ろうとしても若干切れる方向が変わるのです。切れる方向が変わると何が問題になるかというと、お刺身を切った時の断面(食べる時に表に向く面)が段になってしまうのです。これがどうも格好悪くて歯応えも良くないとして「1回で切る」ようにするのです(但し、最近のポテチにはギザギザタイプがあるようにあくまで好みの問題でもあります)。
「1回で切る」のを実際にどうやるかと言うと、食材に対して包丁の根元側の刃(一番手元に近い=場所を正確に狙い易い箇所)を軽く押し当てて少し引いてガイドを作り、そのまま重力の方向に力を加えながら包丁の先まで使うような勢いでサクを切ります。この時、手先ではなくしっかりと体幹から力を加えてやると、力強くなるのでより簡単に切れます。ここでちょっと話は逸れてしまいますが、野球の投手が球を投げる瞬間をイメージして下さい。投手がマウンドに立って振り被り、ボールを投げ放とうとするその瞬間、手首が強くしなって球がバッターの方へ放り出されます。これと同じように、体幹から上手く力が伝えられている場合には手首がしなりますので、実際には孤を描くような形で包丁を振るうことになります。
ただ、実際の所これを行うには多少の訓練が必要です。まずは包丁を軽く握れるようになる必要があります。これは武術(生き残る為に身体の事をとことん考えた技術)でも刀を持つ時の持ち方の注意としてで同じようなことが言われてまして、あくまで軽く刃物を支えているだけにしないといけません。但し、これはしっかりと握っていない訳ではないので注意して下さい。一見すると「軽く」と「しっかり」は相反したような内容なのでイメージし難いので、近い例であげますと、手の平に収まる程度のボールを上に軽く放り投げて手元に戻す動作をするとします。段々慣れてくるとボールを上に放っても手元に収まっているような感覚が出てきます。簡単に軽〜く投げてるイメージです。これはボールに与えた力と重力の方向と影響力を把握し終え、体がそれに必要な最適な動作を理解した状態です。この時はボールと体が一体になっているとも言えます。これが実はお刺身にも言えまして、お刺身を切る時にはボールを放り投げる時と同じように包丁を持上げ、落ちてくるボールの勢いを軽くしながら受け止める(つまり、ボールが落ちてくる重力の方向に少し手を動かす)時と同じように切るのです。これを別の視点から見ると、ボールを意のままに操れる状態のようになるまで、包丁に慣れる必要があります。それなので、不安を感じているような状態で無理に軽く持とうとする必要はありません。無理をやってしまうと、包丁を落としたり放り投げてしまったりして危険です。やることを理解した状態で体が馴染んでくれば、自然と無駄な力は抜けるようになってくるので大丈夫です。包丁を使っている内に気持ちに余裕が生まれたらチャレンジしてみて下さい。さくさくっと切れると楽しいですよ(・ω・)ノ。
包丁の重さの話
上手く切る為の体の使い方については既に説明しましたが、上達した所でこれだけでは上手く切れません。体の使い方と同じくらいに重要なのは切る為の道具、包丁です。この包丁ですが、どうも選び方を間違えてしまっている人が多いようなのです。
これは極端な話になってしまいますが、薄紙を切る為のカッターを思い浮かべてみて下さい。そしてそのカッターでお刺身を切る姿を想像して下さい。すっごく大変そうでは無いでしょうか?これが果物ナイフになったらどうでしょう?多少マシになりましたが、なんか大変そうです。つまり、ある程度の大きさや硬さがある物を切ろうとした場合にはそれなりの重さと長さが必要ということです。勿論、小ぶりなものでも切ることはできます。だけど「軽くて楽!」な包丁は、硬いものに対しては落とすだけでは切れないので「軽くて辛い!」になってしまうのです。カッターで魚の骨を切ることは難しいですが、出刃包丁を振り上げて「えいっ!」と振り下ろしてあげれば簡単に切れます。これと同じように、お刺身は決して硬くはないのですが「1回で切る」のはただ切るよりも大変で、その為には多少の重さと長さが必要になってきます。よくお店では「軽い!」を売りにして包丁が売ってますが、軽い方が力が必要になるのは覚えておいて下さい。尚、魚を捌く用の出刃包丁でお刺身を切ろうとした場合には当然簡単に切れる反面、重くて扱いにくいので正確には切り難いので切る物に応じて適切な重量と長さと形状が決まってきます。だから包丁は色々な種類がある訳です。
包丁を専門に用意する?それは難しい相談です
でも、わざわざ包丁を買い換えるのは大変ですよね。お金も掛かるし、そもそも置く場所にも困ります。勿論、刺身用の包丁を持っていれば便利ですが、万能包丁や牛刀あたりしか無い方も多いと思います。そんな訳で、普通の家庭で出来る範囲の中でお刺身以外にも便利な手段が良いですよね。これがありまして、ずばりやるべきことは「刃を研ぐ」ことです。長い間使っていたのに研いでいない包丁はなまくらちゃんです。包丁の切れ味によって切る為に必要な力は確実に違います。この切る為に必要な力が大きくなり過ぎると「押し潰すように切る」事しか出来なくなりますのでお刺身のすぅーっと切る真似が出来なくなり、お刺身がべちゃ〜と潰れたような形になったりします。研ぐことをやっているのとやっていないのとでは雲泥の差が出ますので、是非やってみて下さい。
因みに、研ぎは専門のプロの方がいるので私の知識では恥ずかしいのであまり詳しくは説明しませんが、基本的な考え方としては次のようになります。
まず、刃物は先端を尖らせて、力を一点に集中させる事によって切ることを容易にしています。一方で、尖った先端に対して常に強い力が加わっている訳です。その為、丈夫な材質の物で刃物を作る訳ですが、それでもやはり切っている内に先端がどんどん欠けていってしまいます。これは眼に見えないくらいの小さな差なのですが、薄い紙を1枚切る時と2枚重ねて切る時とで必要な力にかなり差があるように、先端が欠けた分だけ切り落とす為に必要な体積が増大するので如実に影響します。つまり、しっかりと研いだ状態を最高の状態とすると、使う度に常に劣化していっているのが包丁等の刃物の特徴な訳です。
あれ〜?それでは刃物は使い捨てなの??となります。これはある意味正しくて、カッターではそのものずばり使い捨ての物が多々あります。ですが包丁のような物の場合には使い捨てするには勿体無いので、もう一度先端を削って鋭くさせます。当然、その分だけ刃が短くなりますが使い捨てるよりは経済的なので、そうしている訳です。これが研ぐ理由です。
では早速研ぐ訳ですが、早い話が砥石と言う名前のやすりを使って包丁の先端を削っていきます。普通は中目と呼ばれる荒くも無く細かくも無い程ほどに凸凹な石に包丁の刃を押し当ててこすります。すると、包丁と石の双方が削れて包丁はキレッキレに、平らだった石は凹みます。
たったこれだけなのですが、幾つかポイントがあります。1つ目は、石自体の性能を下げない為にまずはさっとで良いので水に濡らす事です(石によっては30分くらい水に浸す方が良いのもあるけど、大体はさっと濡らすだけでOK)。これは幾つかの意味がありますが、一番重要なのは凸凹した石の上を包丁で削っていると、平らな板を当てて整地しているようなものですから石が平らになってしまことが理由です。平らになった面に包丁を当ててもすべるばかりで削れない訳です。その為、地面を濡らして凸凹が無くならないようにしています。また、使っている内に包丁が当たっている部分の石が削れて凹んでしまいますので、なるべく石の全体を使って石が平らな状態を維持することです。石が凹むと、包丁を上手く当てられなくなるので研ぐ難易度が増します。とは言っても、使っていれば削れるものは削れるので、平らに戻す為のもっと硬い石が売っていたりもします。
2つ目は、包丁の刃の斜めの面に沿って研ぐことです。極端な話をしてしまうと、ただ切れ味を良くしたいなら本当に刃の先端だけ研磨すれば良いのですが、一部だけ尖っている状態は一方で欠けるのも早いのです。鉛筆の先端の加工をイメージして、鉛筆の黒い芯の範囲が包丁が使える領域だと考えて貰うと分かり易いかもしれません(最近は鉛筆を削る経験が無い人も増えてると思う)。なんにせよ、簡単に研げるけれども毎日のように研ぐ必要があるような状態は本末転倒ですから、ある程度使い続けられるだけの丈夫さも持っている形状の方が良くなります。すると、それは何処なの〜?となる訳ですが、その辺は包丁の設計者が良く知っている筈です。そして包丁の設計者が包丁をを販売しようとした際、「切れる!」と同時に「長持ち!」をアピールしたいでしょうから包丁はそのように作られています。つまり、なるべく元々の形状に沿った形で研いであげるのが基本(実際には少しずつ変化させた方が正解だと思われますが、専門家ではないのでそこまではやらなくて良いと思う)です。これを実践する為には、砥石に包丁の刃が斜めに付いている面を押し当てながらこする必要があります。その為、左手で包丁の背中を押さえて右手で砥石の上を移動させます。左手は強く押す必要はありませんが、浮いてしまったら研げる筈も無いので、なんだかんだしっかりと押さえながらの作業になると思います。研磨している際、甲高いキーキー音がする場合がありますがこれは研ぎ方が良くない証拠です。砥石を包丁の刃で切り付けるようにして切ると砥石を削る音としてキーキーと甲高い音が鳴ります。つまり、甲高い音が鳴っているのは包丁を立てて砥石を切り付けてしまっている状況ですので、上記で説明した「切れるようになるけど直ぐに切れなくなる」刃になってしまいます。そもそも耳に痛いですし、キーキー鳴ってしまったら包丁を少し寝かしてあげて下さい。また、包丁の先端部は斜めになっているので少し向きを変えて包丁と砥石の当たり方を見ると良いです。尚、作業する時に土台の砥石が動いてしまうと危ないので、平らな面に濡れた布などを引いて、その上に砥石をおいて作業すると良いです。それが面倒な場合は台付きの砥石などもありますのでそれを利用しても良いでしょう。
3つ目は、刃先の全箇所を一気に均一に研ぐことは出来ないので何箇所かに分けて研ぐことです。通常は、反りがある先端部分、真ん中あたり、根元の3箇所くらいに分けて研ぎます。順番は好きな順で構わないと思いますが、砥石を水に濡らしてから作業することを考えると、水がより濡れている方が細かく研ぐことが出来るので、最初は細かく動かすことのある先端を研いで、後は自由なイメージです。それぞれの箇所で大体50〜100回程度こすこすやった後、裏返して1、2回全体をさっとこすります。裏返した後の研磨は何をやっているかと言うと、包丁の斜めの面を削っていった時に、その削りかすや削った部分が裏側にめくれてくっついているからです。これを落としてほんの少しだけ刃を付ける為にやっています。これを別の視点から言い換えると、包丁の斜めの面がある側(表面)を研いだ時に、包丁の裏側の先端にそれのかすが付いていない場合はしっかり研げてないとも言えるのです。その為、包丁の表面を研いだ後に裏返して包丁の先端の部分を指の腹でちょんちょん触って、出っ張りになったかすが無いかを確認したりします。しっかり研げているかどうかを触った感触で確認するのです。勿論、刃先を下に向けた状態で上から指の腹で軽く触れるだけなので、指は傷付きません。最初はちょっと怖いかもしれませんね。
4つ目は、研ぎ終わった包丁をまな板において包丁を軽く押してみることです。しっかりと研げている包丁はその自重でまな板に僅かな切込みを入れます。すると、包丁を押した時に抵抗が生まれて包丁が動かないのです。一方、なまくらちゃんになってしまった包丁ですと、まな板の上をまるでスケートをするようにツルツルと滑ってしまいます。この状態では軽く皮膚に当てても切れるような状況ではないので、当然お刺身もすすーとは切れません。尚、研ぐ際に3箇所分けて研ぐと説明したように、研いだ状態も3箇所分けて確認して下さい。先端はちょっと分かり難いですが、他の箇所は上手く研げているとまな板に吸い付くような感じでピタッと止まります。これは包丁を使う前に試しにやってみるだけで簡単に分かるので、ずっと研いで無い人は試してみて下さい。ツルッツルの場合は相当切れ味低下状態です。これでは幾ら腕を磨いた所で上手く切れませんし、その包丁を使って切っていくのは大変です。
今回も長くなってしまいましたが、細かいことをあげるともっと色々あったりします。研ぎ方については反りの所を研ぎ過ぎると直刀みたいになってしまったりしますし、砥石も1,000円強はしますから、もし不安だったら研ぎ屋さんにお願いして貰った方が良いかと思います。ただ、研げているかの確認方法は便利なので是非覚えてみて下さいね。
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最終更新日:2015年12月22日