柵をさくっと切ってお刺身食べる(。・_・。)

計算通りにお刺身を切ったらお化粧でバッチリ

切り出すお刺身の形を予め決めてから切る
これまでの話では「お好みのサクを買ってきて」「包丁を研いで、包丁を落とすように1回で切る」ということを説明してきました。正直な所、家庭ではこれさえ把握していれば十分だとも思うのですが、もう一歩踏み込んだ所の話をしてみたいと思います。
サクからお刺身を切る時には、まずは表と裏の確認をします。これは以前のサクの形状の所でもお話しましたが、サクはお店で正面に向いている表と違って裏は結構凸凹している可能性が高いのでそれを確認します。この時、平らで綺麗な面をまな板側に向けます。つまり、自分が切る面は凸凹して見栄えの悪い面です。これが何故かというと、平らな面がまな板側にある方が切る時に安定することが一つ。そして、お刺身を切る際にサクを手で抑えたりしますが、その時にサクが凹んで形が悪くなるのを避けたいからです。また、凹凸の大きなサクですと、平らな面と言えど柔軟性のある肉ですから平らな面が凸凹してしまうのです。ですから、あくまで片面側だけは平らな面を維持したいのが目的です。次に、サクの厚さが太い方をまな板の奥側に、薄い方を手前にします。これが何故かと言うと、お刺身を皿に盛り付けした際に、奥の方が薄いと遠近法の影響もあって極端に薄く見えるからです。ですから、奥の方を厚くします。因みに、お刺身を食べる時には柔らかい食感が欲しいので筋(縞模様)に対してなるべく垂直に近い形で切るようにするのですが、サクによっては筋を切っていくという考え方と奥の方を厚くするという考え方がぶつかる事があります。この時はお好みで好きな方を選んで下さい。
サクをまな板に乗せる所まで終わったので次は切る番です。まずは次の絵を見て下さい。よくある「失敗とは言えないけど気になる状況」を書いてみました。
サクは自然の物
お刺身を実際に皿などに盛り付けようとした時、サクの大きさが上手く合わないってことは良くある(と言うよりも基本的に合わない)のです。ですから、お豆腐を切る時のように単純に縦に切ってもお刺身の高さが短くなってしまう時があります。特に「お寿司」にしようと思って切っていると、切り身の高さが足りないのでシャリに乗せた時にシャリに対してネタが短くていまいちだな〜となってしまいます。また、前回お話したようにサクは長方形のものばかりではないので、こういったサクを単純に縦に切っていくと高さがばらばらで見た目がとってもいまいちになってしまいます。ここで、この長さを整えてやるのがお刺身の腕の見せ所でもあります。
まずは調整の方法が一番簡単な場合である、サクが長方形だけど高さが短い場合です。これは縦に切るのはそのままで、サク自体を回転させてあげます。考え方としては、サクを縦に真っ直ぐ切るのに対して斜めに切ると距離が稼げます。ただ、正確に斜めに切るのも大変(体の動き的には真っ直ぐよりもやや斜めだとは思うけども)なので、縦に切れるようにサクの方を回してしまう方法です。
短いサクを長く切る
回転させる時の分かり易い目安ですが、サクを実際に回転させてみて包丁を上から近付けてみて、切れるであろう長さが目標の高さと同じくらいになるように切ると上手くいきます(図では真っ直ぐ縦に切っているので狙いに対して少しズレが生じますが、実際に切り易い角度だと少し斜めに入るのでそれ位が丁度良いと思う)。尚、最初に切った角の部分は三角形になってしまうので取り除きます。勿論、食べられる場所なのでそのまま食べても良いですし、形としては悪くなってしまうので細かく加工してタタキのような形で食べても良いと思います。プロの人の場合、ここの部分はお刺身としては使えないので如何に切り落とす部分を少なくして(且つ、外観的に悪くならない程度に抑えて)切るかが腕の見せ所だったりもします。因みに、この最初の切り落としの場所は部位としてはサクの中で最も○○な場所です。切り方や利き手にもよるのですが、角の部分は一番頭に近い部分か、もしくは尾に一番近い部分になるので部位的には良かったり悪かったり両極端です。
今のはサクが綺麗で楽なパターンですが、尾の方のサクになってくると三角形っぽいサクになってきます。これも考え方は一緒で包丁が切り抜く長さを高さとすれば良いのです。但し、三角形なので幅が徐々に狭く(もしくは広く)なっていく為、切る角度を少しずつ変える必要があります。こうなると、その度にサクを回すのは大変ですから体の方を上手く調整して切る角度を調整する必要が出てきます。また、切る角度が少しずつ変わるので、重さを一定にしようとした場合には今までのように並行で切っていくのとは違って幅も微妙に調整しないといけません。更にこれ実はもっと大変でして、大抵はサクの厚さまで三角形になっています。縦の幅が短くなるにつれて厚みも薄くなります。厚みがお刺身の横幅になるので、縦幅を維持していってもどんどん横幅の無いお刺身になってしまうのです。ですので、重さを一定に保とうとすると横幅を広げる為に包丁を寝かせて調整(考え方は縦の長さを長くするのと同じです。今度はサクを回転させて宙には浮かせられないので包丁を寝かせる方に回転させる)しないといけません。
お刺身の横幅の調整
包丁を寝かせると、以前に「基本は重力に従って切る」と説明したように切ることが出来ないので切れ難くなります。また、更に言ってしまうとそのようなサクの場所(尾)は筋が強いのでそもそも硬いですから「切れない(T-T」となりやすいのです。ですから尾の方のサクは「角度を調整」「幅を調整」「包丁の倒し角度を調整」「硬い」の4箇所を狙い通りに切る必要があるので大変です。ここがプロの腕の見せ所ではありますが、もしお刺身の1枚1枚の重さでお子さん同士が喧嘩になるような環境であれば長方形の綺麗なサクを買った方が安心でしょう。もっとも、そのようなサクは値引き前に売れてしまったりします。
サクを切るのはは左から?それとも右から?
今までの話はお刺身を如何に綺麗に、狙った形で切るかの話でしたが、ここでもう少し細かい話をしていきたいと思います。お刺身は基本的にサクの左側から切っていきます。これは何故かというと、通常、包丁の刃は右側だけが斜めになっています。このことが原因で、重力に従ってサクを真っ直ぐに切ったとしてもやや左斜めに切れるのです。ここでもし右からサクを切っていったたとしましょう。左斜めに切れていくということはまな板側の方が上側と比べて狭くなった台形になっている訳です。サクが長い間は下が狭い台形でも横に転がらずにいられますが、最後まで切っていくと台形の下の土台部分が薄くなり過ぎて横にこてんと倒れてしまいます。一方、左側から切って言った場合はこれとは反対で、台形の下の方が長くて上が狭くなります。安定していますね。これが左側から切っていく理由です。
さて、「何故真っ直ぐに切ったのにやや左に切れるのか?」について説明していませんでしたが、これは包丁が肉を切っている時に包丁に加わる力を考えれば分かります。その力は大きく分けて4つあります。まずは包丁の重さによる重力、そしてそれと同じ方向に人が加える力、そして包丁の力に対して肉が反発する力があります。この内、肉の反発する力は包丁が切ろうとする力に逆らいますので上方向と思いがちですが、実は4番目に該当する小さな横方向の力が加わっています。肉を切っていくところを注意深く思い出して下さい。包丁の刃の先端が肉を切ります。そして沈み込んでいく訳ですが、その時に切り取られていない肉の部分と包丁厚みの部分がぶつかります。包丁は通常右側が斜めになってますから、切れていない右側が肉に押し戻されるように力が働くです。つまり、左側に押される事になります。
これが理由です。本当に真っ直ぐ下に切りたい場合は、右斜め下に切るような感覚で切らないといけません。これを別の視点で見ると、どうしても右側から切りたい時にはやや強めに右に傾けて切っていく必要がある為、削ぎ切りのようなイメージで切ることになります。どちらかが切り易いかは体の動かし方の慣れの問題などもありますから、基本は左からですが
細かい注意事項
お刺身を切り終えたらなるべく綺麗な面を向けたいですよね。ここまで集中して切ってきたのです、最後まで気を抜かないで行きましょう!盛り付けの考え方はともかく「汚い面を隠すようにして綺麗に見える面を表に向ける」ことです。
まず、切った面は平らになり綺麗なので切った面を表にくるようにします。また、先程説明したように奥と手前だと奥の方を幅が広い側になるようにします。そして、裏面の凸凹が見えないように重ねるのです。もし手前が三角っぽくなってしまう形だったら、扇状に配置してお花をイメージしても良いですね。予めツマを盛って、お刺身を乗せた時に奥の方が上がるように枕を作ってあげるのも見栄えがよくなります。最後の締めとして、スーパー等では海草や赤ツマ(大根の代わりにニンジンをスライスしたもの)で色を添えつつ、ちょちょちょいと見た目のいまいちな場所を隠して(加工のおばちゃんはこの行為を「お化粧」と呼んだりしてます)完成です!ほら、思ったよりも綺麗にできますよ♪
たかがお刺身ですが、3頁にわたっての説明と結構長くなってしまいました。3頁の内で実際に切っているのは最後の1頁だけで、後はその為の準備の話だった訳ですが、思い返してみると自分で感じていたよりも準備が大事だったという事かもしれませんね。色々と細かく書いていきましたが、もし切るのに失敗しても海鮮丼にしたら良いですし、やや不恰好なのもそれはそれで趣があるというものです。あまり神経質に考えずに年末を楽しみながらお刺身を作ってみて下さい。その際にここでの知識が少しでもお役に立てたら幸いです。それでは良い年末を!(。・я・。)
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最終更新日:2015年12月22日