お刺身を良く知って食べる(。・_・。)

アニサキスが怖いって話だけどどうなの?

気を付けた方が良いって話のアニサキスってそもそも何?
食中毒で営業停止、原因はスーパーで買ったアジのお刺身にいたアニサキス。そんな見出しのニュースがあったりしますよね。アニサキスにあたると凄い痛いって話だし、何でスーパーはしっかりと対応しないのかな?って思ったりもするかもしれません。実際の所、スーパーも対応してはいるのですがアニサキスはかな〜り厄介な相手なのです。
まず、アニサキスがどんな生き物かと言うと、いわゆる寄生虫です。寄生虫ですので、魚が食べた餌の中に寄生虫の卵やらすっごい小さい寄生虫がいまして、魚が寄生虫に感染してしまうのです。寄生虫は魚のお腹の中で成長して大きくなって、卵を産んで魚の糞と一緒に排泄されます。それをプランクトンが食べて寄生されて、その寄生されたプランクトンを食べた魚が感染すると言ったような形でアニサキスも生きてます。
ですから、普段食べている魚の中にもアニサキスが存在している魚がいます。ここで、鋭い方は「アニサキスはお腹(内臓)にいるのだから内蔵さえ取り除けば良いのでは?」と考えるかもしれません。ですがアニサキスは寄生していた魚が命の危機になると、内臓から逃げ出そうとして身の方に移ったりします。魚を釣ったその場で内臓を取り出すのでしたらアニサキス対策としてはかなり効果的なのですが、スーパーで魚を買うような場合は漁師さんが釣り上げてから市場に送られ、スーパーに届くまでに結構時間が経っています。ですから、内臓を取り除いてもアニサキスが身に潜んでいる可能性があります。どれ位の割合でいるのかは時期にもよるのですが、海水が温かい(寄生虫が体外に排出されてからも長時間生き延びられるから?)時に多いと言われてまして、サンマですと40匹に1匹くらい(2〜3%程度)は遭遇するかな〜という感じです。魚を捌く人がアニサキスに遭遇すると「あ、またアニーが居たわ〜」といった具合ですので、決して少ない頻度ではありません。それなのに、アニサキスは糸くずのように小さくて身の中に入っていると眼で見つけるのは難しいのです。これは厄介ですね....。
困った状況ですが救いがあります。アニサキスは魚と一緒に凍ったり・焼いたりしてしまえば死んでしまうのです(注:食中毒ではありませんが、アレルギーの原因になるって話もあります)。では何が問題になるかというと、新鮮な一度も凍らせていない魚を刺身のように生で食べた時に生きているアニサキスを一緒に食べてしまうと、胃の中で宿主ではない人間に飲み込まれてしまったアニサキスが何とか逃げ出そうと暴れて胃をガジガジするのです。胃の中ですから当然強い酸がある訳ですが、アニサキスは寄生虫ですので酸に対してとても強です。ですが人の胃の中ではアニサキスが生きていける状況ではないので、アニサキスは力尽きてしまう時まで必死に何とか逃げようともがく訳です。結果、アニサキスを飲み込んでしまった人は2、3日は痛みに耐えないといけないのです。
アニサキスを食べてしまう状況
アニサキスがどういうことを引き起こすかはご理解頂けたと思います。胃の中でアニサキスが暴れている状況なんて想像するとぞっとしますよね。でも、一方でお魚は食べたいですし何とかして生きているアニサキスを食べない方法を編み出さないといけません。
まず、川魚を考えてみます。川は海と比べて底も浅いし閉鎖された空間ですのでアニサキスのような寄生虫は蔓延してしまいます。ですから、川魚を生で食べるのは非常に危険です。次に海の魚ですが、こちらは広いですし魚が住む環境によって大きく異なります。その為、アニサキスがいない魚もいます。マグロにアニサキスが居た!みたいな話は聞きませんし、タイやスズキ等もアニサキスはまず居ません(たまに別の寄生虫が居たりしますがとりあえず置いておきます)。ではどのような魚が危険なのでしょう?
ずばり、身近な海魚で危ないのはアジとサンマ、そしてイカです。サンマは漢字で秋刀魚と書くように季節物なので冷凍品があったりしますが、お刺身になっているのは大体が生サンマ。アジは一年中獲っているので冷凍しないのが基本です。イカは冷凍品も多いのですが、生でイカを仕入れられた場合は生のまま使用していることも多いです。これらのお刺身は馴染み深いものである一方、アニサキスの危険があるとも言えるのです。他にも危険な魚と言えばサバも上がることが多いのですが、これについては大体が冷凍物や炙ってあったりすることが多いので上記の3つよりは安全かな〜とは思います。
イカのアニサキス対策
イカはアジやサンマと比べてアニサキス対策が容易です。と言うのも、冷凍しているイカも多いですし、生のイカだとしてもアニサキスを簡単に見付けることが出来ます。イカは蛍光灯等にかざしてみると少し身が透けて見えるのですが、そこに糸くずのような陰になっている何か(アニサキス)が見えるので包丁でほじって簡単に除去できるのです。イカの場合なら透けるので、普通は身の中にいて見付けにくいアニサキスが目立つから見付けられるって事ですね。更に、確実にアニサキスの活動を防止する為にイカの身に対して縦方向に飾り包丁を入れ、横方向で実際に切り取りをしてイカの身を細かく切りつけておきます。
イカのお刺身の切り方
これで、もしイカを蛍光灯に透かしたのにアニサキスを見落としてしまって取り除くことに失敗していたとしても、包丁の切れ込みでアニサキスが切れているだろうということです。アニサキスも包丁で切られてしまってはひとたまりもありません。尚、イカそうめんではなくお寿司のような板状のイカの場合は、飾り包丁を斜めに交差(×の形)させたりします。
因みに、こんな面倒なことをしなくても冷凍してしまえば話が早いのでは?と思われるかもしれません。その方が安全・確実ですよね。ですが、イカは生だともっちりと弾力があるけれども、冷凍してしまうと身がしまってもっちり感が減ってしまうので、折角の生を冷凍しては勿体ないという見解があります。
アジやサンマのアニサキス対策
アジやサンマの場合ですが、イカとは異なりアニサキスが目では殆ど見えません。アニサキスは乳白色な色合いでアジやサンマの身の色とは異なるのですが、糸くずくらいの大きさのアニサキスが身の上にでで〜んと居座っている訳ではありません。大抵は先端だけが外から見える程度です。
この為、アニサキスを知っている人でも確実に見逃さない自信があるか?と聞かれたら首を振ってしまいます。そこで、アジやサンマも同じように細かく切ります。アジでしたらアジのタタキのようにしたりもするのですが、イカと違って身が脆いので縦横に切ったりするとバラバラになってしまいます。ですから、自然とイカと比べて切れている間隔が広くなります。すると、包丁から運良く(人にとっては運悪く)逃れるアニサキスが出てきてしまうのです。ですから、アジのタタキのように細切りにしておけば大丈夫だろう、とはいかないのです。実際、これから説明する検査をしたらアジのタタキからも生きたアニサキスが見付かった経験があります。これは驚きました。
細かく切るだけでは駄目なら、何とかして目で見て取り除きたいです。。そこで、ブラックライトと呼ばれる紫外線を出す装置(メーカーさんの頁)でアジやサンマにアニサキスがいないかを検査します。具体的には、暗い室内でブラックライトをお魚に当てると、身は黒いままですがアニサキスが白く浮かび上がって見えるのでそれを取り除くのです。これなら一安心。何も気にせずに安全にアジやサンマのお刺身が食べられますね。
と、言いたいのですが実は少しだけ難点があります。ブラックライトは良い方法なのですが、落とし穴があります。ブラックライトのお陰で単純に目でアニサキスを見付けるのと比べて楽に見えるようになるのですが、白く見えるものがアニサキスだけでは無いのです。魚に残っている小骨も白く見えたりします。ですから、白く反応した物がアニサキスかそれ以外かを判別する必要があるのです。念の為に言いますがg、判別が難しい訳ではありません。但し、紛らわしいものが混ざるということは検査の見落としを増やします。すると、ごくまれ〜にブラックライトによる検査をすり抜けてしまって、更に、身を包丁で細かく切ったのにも関わらず、どちらもすり抜けてしまったアニサキスにあたってしまう可能性があるのです。
このような偶然が重なってアニサキスにあたってしまった人は不幸です。そして人は絶対にミスをするので、対策をしたのにも関わらずアニサキスの問題を出してしまって営業停止になってしまったスーパーも不幸です。こうなると、最早アジやサンマも一度冷凍した方が良いのではないか?という意見も出ると思います。一方、確率自体はアニサキスで営業停止になるスーパーが出るとニュースになる程度(つまり珍しい)と低く、冷凍するとお刺身としての味が落ちてしまうのは事実です。
アジやサンマのお刺身を今後も提供していくべきだろうか?スーパーは悩んでいるでしょう。営業停止になるのは大問題です。でも今まで長年食べられてきたものを捨てるべきでしょうか?皆様はどうお考えになられますでしょうか?
アニサキスと付き合うには
私は「食文化を守るッ!」とか大層なことは思いませんが、やはり生のサンマやアジをお刺身で食べたい!という方がいるのは事実で、その人達の想いは尊重してあげた方が良いと思います。危ないからという理由で禁止するのも必要ですが、禁止ばかりでは息苦しいです。そもそも何であれ生食というのは多少の覚悟が必要ですから、それを念頭においてアジやサンマのお刺身であれば何度も良く噛んで食べて頂くのが良いのではないかと思います。この事実さえ知っていれば、もしアニサキスにあたってしまって「もう生色は止めよう」と判断するのも、「運が悪かったがまた食べたい」と判断するのも良いと思います。このような事実を知らないでただアニサキス中毒に当たった!となると当然「店の管理が悪くて不良品を出した!もうあそこでは買わない!!」となりますよね。これはちょっと悲しいです。
今回はちょっと気持ち悪かったり怖い話だったかもしれませんが、知らないでいるよりも良く知って食べて頂くのが一番だと思います。
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最終更新日:2017年10月27日