スマホの性能表の意味とは
大切なスマホちゃんを長く使いたい...長く使う時のコツを紹介します。

スマホを長く使いたいなら知っておきたいボタンの話

スマホのボタンが壊れてしまう前に気を付けておきたいこと
勝ってから年以上経つスマホちゃんですが、少し前からスマホのホームボタンの反応が悪くなりました。戻るボタンを押しても終了しないお行儀の良くないアプリがある為、そのアプリを強制終了させるのにホームボタンが必要なのですが簡単には動作しません。コツが分かればそれでも動作するので普段は何とか使えているのですが、押した判定がシビアな状況で動作させるのには苦労したりします。例えば、先日サイトを更新する為に資料としてスマホのベンチマークのスクリーンショットを撮ろうとしたのですが、これにはホームボタンと電源ボタンを同時押しする必要がありまして、同時押ししようとするのですがホームボタンが反応せずに電源ボタンの反応だけして画面が消える、再度電源ボタンを押して起動させるとロック画面になりますので、ロックを解除して再挑戦...が、駄目(T-T。ということを繰り返してまして、スクリーンショットを1枚撮るだけでも5分位かかってスマホと格闘していたような状況だったのです。
私の場合はホームボタンですが、電源ボタンが駄目になってきていてスマホを切るのに毎日苦労していたり、突如鳴り出したスマホの音量ボタンのききが悪く慌てながら音量を無しまで落としている方もいるのではないでしょうか。完全に壊れたら買い換えなきゃな〜と思いつつ、微妙なラインで使えるボタン。愛機を長く使いたい時に障害になってくるこのボタンのトラブルが何故起こるのかの原因を知っていると、長く使うことが出来る方法も分かってきたりします。
ボタンの下はどうなってるの?
ボタンの下にはスイッチがあります。スイッチは小学校の理科の授業で習った「金属の板と板が合わさって電気回路が繋がる」あのスイッチです。ボタンが押されると、ボタンの下にあるスイッチの金属の板同士がくっつきます。これによって電気が流れまして、スマホ内で「ボタンが押されたよ〜」という信号として処理される仕組みです。このスイッチがどのようなものかと言いますと、「タクトスイッチ」や「タクティールスイッチ」、「ライトタッチスイッチ」等、メーカーによって色々な名称がありますが全部同じものでして、「ドーム状の可動接片を使用したスイッチ」のことです。こうやって書くと「専門用語でさっぱり(?−?」となりますが、絵で見ると簡単なので図を用意してみました。
まずは眼につけるコンタクトレンズをイメージして下さい。あれの材質を変えて金属の薄い板(厚さは0.2mm程度)にします。金属の種類はメッキを付けられるりん青銅か、抵抗値は上がってしまいますが寿命がとっても良いステンレスを使ってるのが一般的です。この金属の薄いドームを上から押すとぺこんと凹みます。でも金属なので離すとぽこんと元に戻ります。押すと真ん中が凹んで、離すと元のドームに戻る訳です。この性質を利用します。
まず、ドームを金属の板の上に乗せます。この金属の板には穴が開いてまして、穴の周囲にドームのふちが乗っかっています。次に、ドームをぺこぺこ押した時に左右にドームが移動しないように、ドームの周りに壁を作っておきます。この状態で、ドームが乗っている金属の穴に別の金属を差し込みます。そして、ドームが押されて凹んだ時に穴に差し込んだ金属とドームが触れるようにします。すると、ドームが乗っている金属の板(穴有り)と、穴に差し込んだ金属がドームを中継にして電気的に接続されます。するとスイッチの完成です。実際にはドームを直接触らないようにする為にドームの上にゴムを挟み、ドームが上下に跳ねないようにカバーをつけたりしてからボタンをゴムの上に乗せます。
どうでしょう?結構簡単な作りですよね。今回のスイッチはこれだけで済むのですが、一般的にスイッチを作る場合には電流が切り替わる以外にも大事な要素が2つありまして、「ボタンを押した事が分かる機能」「押した後にボタンが元に戻る機能(もしくは交互に入れ替わって元に戻せる機能)」が必要なのです。それなので、通常はボタンを押した時に手に反動を与える為のバネが必要だったり、スイッチが元の位置に戻る為のバネが必要だったりします。ですが、このドームを使うとドーム自体がそもそもバネ(皿バネ)なので2つの要素がドーム1個で出来ます。更にドームの凄い所が、スイッチには電流を接続する為の指で押した時に連動して可動する接片(可動接片)が必要ですが、それもドームが行いますので他に部品は必要ありません。しかもドームは打ち抜いて加工するだけなのでどんどん作れてお安く出来上がるというスイッチの中でもすっごくスマートなスイッチなのです!
こんな優れた点を持つタクトスイッチですが、このスイッチにはその簡単さ故の非常に悩ましい問題があります。これがスマホのボタンの寿命を延ばす鍵になってきます。
タクトスイッチの弱点とは
タクトスイッチの弱点は、ずばり「異物」に対して弱いことです。ドームがぺこりと凹むことによって凹んだドームの中央部と接点が繋がる訳ですが、この間に何か電気が流れないゴミが着いたとします。すると、ドームが凹んでも間にあるゴミ(異物)が邪魔になってしまって電気が流れなくなります。こう説明すると「他のスイッチも異物があったら駄目なのは同じなんじゃないの?」という疑問が出てくるかと思いますが、実は大抵のスイッチは箒のようにゴミを掃くようにしながら動きますので多少のゴミ(異物)は平気なのです。ですが、ドームはその形状的にいつも殆ど同じ場所が当たる事になるのでゴミを取り除くような動きになりません。寧ろゴミを叩いてその位置にこびりつかせるような動きをします。
勿論、この事実をメーカーは良く知っていますので色々な対策をしています。ゴミが入らないように接点付近を洗浄してみたり、ドームが実際に当たる箇所に小さな出っ張りを何箇所か設けて1箇所が駄目だった時でも他の箇所が当たるようにしたりしています。ですが、これも裏を返せばそれだけ異物が問題になることを示唆しているのです。
ここまでの話で異物に弱い理由が分かってきましたが、新品のスイッチ内部には接触を妨害するような異物は基本的にありません。その為に対策をしていますし、検査もしています。ですので、新品の状態のスイッチでは問題無いのですが、使っている内に段々と問題が出てきます。
使っていると何が起きるのか
スイッチを押すたびにドームと接点がぶつかります。これはほんの些細な力ではあるのですが、金属の板を金槌で叩き続けるのと同じように何万回もぶつかり続けると当たっていた箇所が削れます。この剥がれ落ちた粉が異物になると思った方は正解なのですが、人によってはこの説はちょっと違和感があるかもしれません。そもそも電気が流れる物質が削れて粉になっただけなのにそんなに悪影響があるのか?という疑問です。
これを説明するには、もう一つ重要な現象があります。放電です。雷はダイナミックな放電現象ですが、これと同じことがスイッチ内部でも起こっています。信号用の電圧はたかだか数V程度で電流も大した事なさそうなのに放電が起こるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ドームがぺこん凹んで接点と接触する直前の状況を想像してみて下さい。ドームの先端が接点に極めて近い位置まで接近していますが接触はしていません。勿論、この後直ぐに接触する訳ですが、そのほんの少しの時間の間、放電が起きるのです。ほんの僅かな時間での放電ですので、そんなに凄い力はありませんが、何万回もそれを繰り返していれば微細な粉になった金属を炭(電気が通らない)にするくらいの力はあります。ですので、ごく僅かな変化が積み重なっていって、スイッチを押しましたよ〜という電気の信号を弱めていきます。こうなるとスイッチの反応が悪くなります。
また、金属の腐食を考えてみた場合も同じようなことが言えます。腐食の場合は、スイッチを何万回もも押すことによってドームと接点がぶつかることによってお互いの表面のめっきが剥がれてきます。すると、めっきの下に隠されていた銅等の錆び易い金属が剥き出しになります。こうなった場合、時間が経つにつれてどんどんと金属の表面が錆びてきます。錆びた部分は電気が流れないので、電気の信号がどんどん弱まっていきます。
このような状況になるのをなるべく遅くするようにすればスイッチの寿命が持ちます。この問題を引き起こしているのは、ドームと接点の削れですので、なるべく削れにくくすれば良いのです。では実際に何をすれば良いかと言うと、「ボタンを押す時はなるべく優しく押す」ことです。要は金属同士がぶつかって削れる訳ですから、叩く力に気を付けてやれば良いのです。ボタンを押す力が弱過ぎたら勿論スイッチが動きませんが、ボタンがペコンと動いてドームがカチッと鳴ったらそれ以上はあまり強く押さないであげるのが良いのです。時折、アプリのエラーで挙動がおかしくなっている時にボタンの効きが悪くなってグイグイ押し付けるようなことをしてしまいがちですが、これをしてしまうとスイッチの寿命が一気に縮みます。優しく押している時と叩きつけるように押している時でのスイッチの寿命は本当に差がありまして、叩き付けていると1万回で怪しくなるようなスイッチでも優しく扱ってあげると100万回もったりするのです。相手は厚さがたかだが0.2mm程度の薄いドームの板ですから、これをギューっと押し付けてしまうと簡単に割れてペコペコだったスイッチがヘコヘコになってしまうのです。ドームが割れればザクザクな面で接点を叩くことになりますので、接点が直ぐに荒れてしまいます。
反応が悪くなったスイッチが押し付けると反応する理由
これまで「スイッチは強く押し過ぎないで下さいね〜」という話をしてきましたが、一方でスイッチを強く押す方がが良い事もあります。これは、スイッチを強く押すとドームの当たる箇所と押す力が増えて、ドームと接点の間にできた異物を避けてくれる事です。つまり、ある程度駄目になってしまったスイッチの場合は強く押すと一時的に症状が回復したりします。ですが、基本的には悪い状態を強引に使っているだけですし、接点の表面をもっと早く荒らすことになるので何処かで駄目になります。ですので、反応がかなり悪くなってきたらそろそろ買え時だと判断すると良いでしょう。
因みに、接点の部分が荒れているから電気の流れが悪くなるなら、綺麗に拭いてやれば回復するのでは?と考えた方はいらっしゃるでしょうか。これはかなり正解でして、うまーく分解してうまーく拭き取ればかなり良くなる可能性が高いです。でも、スマホだと構造上厳しいので現実的では無いでしょう。とは言え、タクトスイッチは車のキーでも使われていたり色々な信号を送る場所でちょこちょこ使われていますので、駄目元で試してみると上手くいくかもしれませんね。
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最終更新日:2016年03月17日